作品紹介「二十三時にエントランスで」
今回はオンデマンドにてご依頼いただきました、河様の作品をご紹介します。

<表紙>ファンタス_赤/マットPP/ウォーターセレクト(透明)
<本文>淡クリームキンマリ_70K
うっすらと輪郭を無くした夜の街に、ぼんやりと浮かぶ光とモノクロのタイトル。
表紙はどことなくダーティーさも感じる都会の雰囲気を持ち、その独特な空気感にしばらく見入ってしまいます。

朧げな都会の夜のイメージは、マットな質感にこそよく映えるように思います。
街や道路から漏れる光が、瞬くというよりも静かに滲むさまに、なんともいえない「都会らしさ」を感じさせてくれます。
そこに時々ビビットな輝きを見せる、ウォーターセレクト(透明)の箔。
夜景の上に鮮やかな色を持つ輝きは美しく、時に眩しく波を打って漂います。ほんのり寂しさをも感じる、大人な雰囲気のある装丁です。

表紙を捲るとすぐ、ファンタスの裏地の鮮明な赤と、その隣に高層ビルが並ぶ都会の情景が現れてきます。
本文はセクション同士を繋ぐ扉のページにもクールなモノクロの世界があり、次にどんな物語が紡がれるのかと想像を掻き立てられます。
静かな場所で時々装丁を見返し、じっくり時間を使って読みたくなるような
そんな素敵なデザインの一冊です。